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「アメリカでのダム撤去最新情報」講演会の報告
アメリカ合衆国のダム撤去で活躍されているデイヴィット・ウェグナーさんによる講演会(十勝自然保護
協会・川と河畔林を考える会,北海道の森と川を語る会主催,River Policy Network後援)には会場一杯の
約80人が参加しました.
ウェグナーさんは絶滅危惧種の保全と河川プロセスの研究者であり,エコシステム・マネジメント・イ
ンターナショナルを設立・運営する科学的河川再生プログラムの立案・実施専門家です.「ダム撤去」
(青山己織訳,岩波書店)の著書があります.
【ウェグナーさんの講演要旨】
ダムは発電や灌漑,飲料水や工業用水,治水など人類に貢献してきましたが,その反面,河川の生態系
を破壊し,魚の移動を妨げるなどの弊害ももたらしました.人々は自然の川が経済的,社会的,環境的な
恩恵を与えてくれることに気づいたのです.またダムが寿命を迎えたり土砂が堆積するなど,安全性や維
持経費などの問題も生じてきました.
このためにアメリカ合衆国ではこれまでの「ダム建設」から「ムダなダム撤去」へと大きく方向転換
し,持続可能な河川管理と復元を目指してダム撤去に取り組んでいます.これまでに小規模ダム・中規模
ダムを中心に数百のダムが撤去されました.ダムが撤去された河川では,思ったより早く自然が回復して
います.
ダムは魚類の移動を妨げるために,とりわけサケ科の魚は生息地が分断・縮小されてしまい,絶滅の危
機を増大させます.魚は魚道を通って遡上できたとしても,稚魚の多くは魚道を通って下流に下ることが
できません.ダム建設によって,魚の種数が減少することもわかっています.また,ダムに土砂が堆積し
てしまうため土砂が下流まで運ばれず,海岸線の浸食が深刻な状況になっています.ダムを撤去するに
は,縮小してしまった氾濫原を復元させることも必要になります.
こうした問題の解決のために,行政や研究者,技術者のほかNGOなどが情報を共有し,意思決定の過程
を透明化して進めることが大切です.
私たちは地球という惑星を,持続可能な状態で子孫に受け継がせなければなりません.
わが国でも,球磨川水系の荒瀬ダムの撤去が決まりました.しかし,その支流には大きな問題となって
いる川辺川ダムの建設計画があります.北海道では天塩川水系にサンルダムが計画されていますが,この
ダムの治水効果については大きな疑問が持たれているうえ,産卵のために遡上するサクラマスの移動を妨
げ,稚魚もダムによって下流に下れないことが問題視されています.
サンルダムは「サンル川を守る会」http://www.geocities.jp/sanru_hokkaido/home.html
が反対運動を行なっています.
いまだに全国各地でムダなダム建設が計画され,地元で反対運動が起こりながらなかなか中止の決定が
下されないわが国と,過去の反省に立ち,NGOや市民の参加によってダム撤去と河川の復元が進められて
いる欧米は,なんと対照的なのでしょう.
ダムによる治水の理論はすでに破綻しています.行政がそれを認め政策を根本から転換しなければ,持
続可能な河川の復元は困難でしょう.ダムをつくりつづけながら,自然復元を目指すことに大きな矛盾が
あります.自然再生推進法による釧路湿原の復元で,批判の声が聞こえてくるのも当然です.
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なお,後援のリバーポリシーネットワーク http://www.mm289.com/RPN/ は持続可能な河川の復元
のために,世界の最新情報を広く伝え,市民やNGO,研究者,行政が公平な立場で科学的に議論できる場
を提供することを目的として結成された団体です.
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